2021年11月30日

[Web技術]
「NFT」って何? NFTの基礎講座

NFTとは一体どういうものか、みなさんご存知でしたか?、私はよくわかっていませんでした。2021年3月にNFTアートが、約75億円という史上最高額で落札されました。こんな景気のいいニュースを聞いたり、何かと話題のNFTについて調べてみました。

Non Fungible(非代替性)とは

NFTは「Non Fungible Token(非代替性トークン)」の略称です。Fungibleとは、「等価交換できる」という意味で考えると分かりやすいかと思います。お財布に入っている千円札は、誰が持っていても同じ価値の千円札です。他人と交換しても価値は変わらず問題はありません。このようなもののことを「交換可能」と言っています。

一方で、Non Fungible(非代替性)とは、特定のモノ自体に価値があり、他と交換するわけにはいかないもののことです。有名スポーツ選手のサイン入りのボールやユニホームなどは、その典型的な例です。

NFTの概要

NFTとは偽造することができないデジタルデータのことを指します。

ブロックチェーンの技術を利用して作られており、技術として生まれたのが2017年のことで、比較的新しいものです。そもそもトークン・ブロックチェーンという言葉自体、初めての方には聞き慣れないと思います。

トークンとは仮想通貨業界では一般的に、既存のブロックチェーン技術を利用して発行された仮想通貨のことを指して「トークン」と呼びます。そしてブロックチェーンとは「信頼性の高い取引ができ、書き換えや改ざんがほぼ不可能で、停止することない、多数の同一データを分散保持させる仕組み」のこと。

NFTの特性

NFTの技術的特性は、主に4つ挙げられます

  1. ブロックチェーン上にデジタルデータの改ざんを防ぐために、所有者が作品の保有権を証明する識別情報が付きます。他のデジタルデータと判別することが可能であり固有のデータとしての資産性を持たせることができます。
  2. 所有者が明確になり、固有性や資産性を持たせることができれば、取引が可能になります。取引内容はブロックチェーン上で公開され、誰にでも検証が可能なため、安全性の高い取引が可能となります。
  3. 従来型のプラットフォームの場合、デジタルコンテンツは購入元のサービスが停止されれば利用できなくなります。一方、NFTは共通規格で発行、流通するため複数のプラットフォーム間でデジタルコンテンツの利用を技術的に可能にします。
  4. 作品の取引時に契約した内容を自動実行できる仕組みの「スマートコントラクト」を取り入れています。スマートコントラクトを使用したプログラムにより管理・運用ができるため、取引数量を制限したり、時間の経過とともに価値を変更したり、さまざま機能を追加できます。また、取引履歴はブロックチェーン上で公開され、照会することができるため、二次流通(作成者から購入した作品を他の人に転売する)された収益の一部を原作者に還元するといったプログラムの設計も可能です。

NFTで取引きされているもの

最も有名なマーケットプレイスである、OpenSeaの事例を見てみましょう。

OpenSeaでは出品カテゴリとして、以下の7つが用意されています。

①アート
②ドメイン名
③バーチャルワールド
④トレーディングカード
⑤グッズ
⑥スポーツ
⑦ユーティリティ

現時点で販売されているNFTコンテンツには、デジタルデータに変換できるほぼすべてのものが含まれています。

NFTの事例

最初にデジタルデータをNFT形式で販売したのはDapperLabsという企業。2017年に「CryptoKitties」と呼ばれるネコのイラストを販売を始めました。それからデジタルデータをNFT形式で販売するという方法が広がっていきます。CryptoKittiesの中には数百万円の値がついたものあったそうですが、現状と比べてみれば、当時はまだ小さなトレンドに過ぎなかったそうです。

アメリカのロックバンドKings Of Leonは2021年3月5日にアルバム「When You See Your Self」をNFT形式でリリース。発売から5日間で約2億2000万円を超える売上を記録しました。

プロバスケットボールリーグのNBAが、試合のハイライト映像をNFT形式で販売する「NBAトップショット」が人気です。過去1カ月間での取引高は約270億円にも上ると報じられています。

イギリスを拠点に活動する匿名アーティストのバンクシーが、自身のアート作品「Morons(能なし)」を燃やし、元データをNFTとしてオークションで販売しました。「Morons」には「こんなクソな作品を買うお前らのようなバカのことはわからない」と書かれているのですが、オークションでは約3500万円で作品が落札されています。

米Twitterと米SquareのCEOを務めるジャック・ドーシー氏がオークションに出品した同氏の初ツイートのNFTが、約3億1640万円で落札された。

beepleという名前で知られるデジタルアーティストの作品がオークションにかけられ、NFTとしては史上最高額の約75億円で落札されました。beeple氏は毎日1枚のデジタルアートを作成する「Everyday」というプロジェクトを13年以上続けており、そのプロジェクトによって作成された5000枚の画像をまとめて1つの作品とし、オークションにかけました。

「ルイ・ヴィトン」や「バーバリー」「ドルチェ&ガッバーナ」といったラグジュアリーブランドからもNFTを使ったコレクションやアートが発表されています。

今後

急激に人気上昇してからまだ日が浅いNFT。その市場は拡大していくことが予想されています。

取引額ベースでは2018年約173億円の市場でした。それが2021年1月~6月の半年のみで約1,380億円の規模にまで拡大しています。

日本国内でも暗号資産取引所のCoincheck、が国内初の取引所一体型NFTマーケットプレイス「CoincheckNFT(β版)」を一般公開するなど、その勢いはますます加速しています。今後もNFTの取引を行うことができるサービスの数は増えていくでしょう。

デジタルアート作品販売以外でのNFTの活用

新しい取引市場として注目されているNFTですが、アーティストだけではなく改ざんが極めて難しいという特徴を活かして、活用の場を広げています。

ブロックチェーン技術を使った経済活動のデジタル化を推進するLayerX社は、つくば市と一緒に透明性と秘匿性の高い電子投票システムの開発に取り組んでいます。

アメリカの大手経済誌「フォーブス」は、自社メディア内での「広告非表示権」を発売しました。この権利はNFTで管理され、マーケットプレイスを通じて取引が可能となっています。他にもプロスポーツや音楽分野やファッション分野など、多種多様な業種でNFTを活用した取り組みがおこなわれており、その規模は年々拡大しています。

まとめ

NFTについての内容や事例について調べてみました。NFTはまだまだ発展途上で、非常に面白い技術だと思います。

従来型の写真や音楽データなどのデジタルコンテンツも著作権で守られいますが、実質的にコピー仕放題で、友人からもらったデータや違法コピーしか持っていない人もいます。これでは作者、メーカーは報われません。しかし、そういった歪な状態をNFTは、正すことができるかもしれません。

NFTがインターネット上での販売方法として広まれば、転売などの問題を気にする必要がなくなり、アーティストの収益構造を一変させる可能性に強い期待がかかっています。

この記事を書いた人

kayama

取締役、アートディレクター

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